RubyKaigi 2024参加レポート

はじめに

こんにちは、ハイリンクでプロダクト開発エンジニアをやっていますタイガです。 先日行われたRubyKaigi 2024に参加した感想をハイリンクのメンバー全員で振り返ったので、それぞれが感じた印象や体験についてレポートしたいと思います。

RubyKaigiは世界中のRubyistが集まる年に一度のイベントであり、新しい技術やアイデアに触れる絶好の機会でもあります。 私を含めてはじめて参加するメンバーが多く、学びの多いカンファレンスでした。

今回は、その熱気と学びをお伝えできればと思います。

メンバー紹介

taiga:2023年7月、ハイリンクに入社したプロダクト開発エンジニア。RubyKaigiには初めての参加。

nogaken:ハイリンクのCTO。RubyKaigiには初めての参加。

kaji:ハイリンクには副業として契約後、2022年6月に正社員として入社。プロダクト開発エンジニア。RubyKaigiには初めての参加。

kantarow:2021年にインターン生としてハイリンクにジョイン。ロジスティクスエンジニア。RubyKaigiには二回目の参加。

参加してみて感じた印象について

taiga: それでは振り返りを始めていきたいと思います、よろしくお願いします! まずはRubyKaigiに参加してみて、全体の印象など感じたことがあれば教えてください。

nogaken: 自分はKaigi on Railsには参加したことがあったんですけど、RubyKaigiは初めてで、全体的な熱量の高さに驚きました。 会場の熱気やブースの本気度、発表とその反応を含めて、Rubyコミュニティの熱さを感じました。想像以上にお祭り感が強く、熱気があったのが印象的でした。

taiga: おお、たしかに。コミュニティの熱量の高さを感じられましたよね。 他の皆さんはどうでしたか。

kantarow: nogakenさんとほぼ同じなんですけど、久しぶりに参加してやっぱり規模感がすごいなっていうのがありますね。

nogaken: kantarowさんは2019年に参加したことあったんですよね?

kantarow: そうですね、福岡のときに参加したんですけど。 そのときの記憶が結構曖昧で、ラーメンのことしか覚えてないです…

taiga: 笑。kajiさんはどうですか?

kaji: Rubyという言語に対する愛がみんなすごいなって思いました。 それこそ他の勉強会やカンファレンスとか参加したときはユースケース寄りであったりとか、あとは自分が好きなことをバラバラに発表するみたいな感じな印象でした。 RubyKaigiは全員がRuby大好きで、Rubyのためにいろんなことしてるぜとか、こんなクールな使い方できるぜみたいなRubyという言語に対する愛を全員が持っていて、それに対してみんながRubyに対する熱い思いでやってるのが、新鮮で面白かったなと思いました。

nogaken: 全体の発表を通して感じたことで言うと、想像よりとっつきやすくて、すごく理解しやすいと思いました。 もちろん中にはすごく難しいものもあったんですけど、発表自体が発表者の方々がすごく練っていてわかりやすいし、今現在Rubyが抱えている課題とか、今どういうテーマで取り組んでいるみたいな全体感を掴みやすいような発表内容が多かったかなっていう印象です。 Parserの話だったり自分が気になっているRBSとかTypeProfの話だったりっていうのは、このカンファレンスに参加するだけで、今どういう方向に進んでいるのかが掴めるような発表の構成で、自分たちを巻き込んでいただいている感覚がありました。 Rubyコミュニティの熱でもそうですし、そのコミュニティをもっと大きくしようとするための工夫みたいなところも感じて、初めて参加した身としてはポジティブで意外な点だったかなって思います。

taiga: 確かに講演がぶつ切りになっていないというか、3日間通して流れがある感じがしましたよね。 最後のMatzさんのお話とかを聞いても、3日間通して楽しめる構成になっていたような気がします。

気になった講演や興味を持ったことについて

taiga: TypeProfやRBS、Wasmっていうワードが出ましたけど、この講演良かったよとか、興味を持ったことなどあったりしますか。

kantarow: 僕はParserに興味あって、もともと言語処理系に興味あったんですけど、日本語でRuby言語とかその周辺のエコシステムにコミットしてる人の話が聞けるっていうのがよかったです。 内容は分かんないことの方が多かったんですけど、だいぶ熱量を感じて、モチベーション上がったというか、入門してみたいなという気持ちになりました。

nogaken: このParserとか自分のRubyの知識では全く知らなかったので、「Parserってもう完成してるんじゃないの?」みたいに正直思ってたんですけど、話を聞いてみると結構いろんな課題があることを知りました。 それこそRubyの各処理系ごとにParserが違うから、Universal Parserで統一していきたいみたいな話があって、今の時代の流れとともに、Parserの重要性が上がってきているというところが、知識として面白かったです。

taiga: みなさんParserに興味を持っていた感じですかね。 業務的な話で結構盛り上がったのはTypeProfだったりしたと思うんですが、このあたりはどうでしたか?

nogaken: 自分の中で一番熱いなと思ったのはまさにTypeProfのところで、Rubyと型についてそこまで普及する未来は見えていなかったんですけど、TypeProfの話を聞いて、自分たちプログラマーが頑張って書くんじゃなくて、コードからRBSを生成して型検査をする方法であったり。 あとはRBSもファイルとして書くんじゃなくて、コメントでインラインに書けるようにする話で、インラインとかTypeProfとかがもうちょっと進めば、Rubyと型のいい関係が普及していくんじゃないかなっていう未来が見えてワクワクしましたね。 自分たちのプロダクトでも、バックエンドのリファクトリングの時に型が欲しいケースがあって、一気に命名変更したいけど全文検索が辛いなっていう。 そういった課題がこの数年間でもしかしたら解消されるのかな、みたいなところがワクワクしています。

taiga: いいですね。LLMとRBSの話もあったみたいで、このあたりも気になるところです。 記事

kajiさんは気になる講演とかありましたか?

kaji: Wasmですね。ブラウザで色々動くんだっていう驚きがあって。 ブラウザでRuby動かせたらめちゃめちゃ自由度が高まるなっていうの思いましたし、ブラウザで動くならなんでも動くだろうっていう感じがしてて。 エッジコンピューティングとかでもRuby動いたらめっちゃ嬉しいな、みたいな気持ちがあったりしていろいろ面白かったですね。 ゲームとかをRubyで書いてそのままブラウザで動くようにしたりとか、Rubyで絵を書くみたいなライトニングトークでWasmをブラウザで動かして実現するクリエイティブコーディングみたいなやつも面白かったです。

taiga: クリエイティブでいうと初日のQuineとかもめっちゃ面白かったですよね。

nogaken: Quineはkantarowさんとホテルで一緒に書いたりしてました。

kantarow: 一番ミニマムなQuineは、たぶん色々あるんでしょうけど、その中の一つをネットで調べてやってみて、これをアニメーションとして動かすためにはどうやってるんだろうと考えて再現できたときはめっちゃ嬉しかったです。 ちゃんとアニメーションといえるものにはならなかったんですけど。

taiga: 僕もあれ実際にGitHubに上がったコードを動かしてみたんですけど、Rubocopの自動補完が入ってくずれちゃいました…笑

スポンサーとして参加して得られたことについて

taiga: 今回は会社としてははじめてスポンサーになったわけですが、どういう背景でスポンサーになることを決めたんですか?

nogaken:

まず最初に営利活動としてという目的はあります、そのための採用広報としてRubyistの人たちに会社を知ってもらうのが一つの目的です。 もうひとつはRubyという言語のおかげで大きくなってきたプロダクトなので、そのサービスの利益をRubyに還元して、それでまたRubyのコミュニティがよくなって、その恩恵をまた我々が受け取るというような良い循環を作りたいと考えてスポンサーになることを決めました。

taiga: めちゃくちゃいい! すぐに結果が出るものではないですが、スポンサーとして出してみての感触はどうですか?

nogaken: 新しく知っていただいたというところもありますが、すでにプロダクトを知っている人にもカラリアってRubyを使ってるんですねと知ってもらう機会を作れたのは良かったです。

taiga: kajiさんはどうでしたか、スポンサーとして参加してみて。

kaji: もともとカラリアを知ってくれている人が、Rubyの会社なんですねっていうリアクションをしてくれて、Rubyの企業として認知を拡大できたっていうのはよかったです。 サービスを知っていてもそのサービスの使用言語まで知らないことって多くて、わざわざ調べたりすることは少ないのかなと。 とくに我々のプロダクトは物流を自社で持っているところとかが特徴的だなって思っていて、それを、Ruby on Railsで書いているところはとくに良い反応をしてもらえました。

taiga: たしかに!良い反応といえばノベルティが好評でしたね。

nogaken: やっぱり我々はモノを提供していたので、このあたりは相性が良かったなと思いますね。 もっと持っていっておけばよかったなぁと思います。実際にTwitterでも多くの方に好評の声をいただきました。

taiga: 何を持っていくといいかも学びましたね。 自分としてはRubyのコミュニティの一員になった気がしてよかったと思ってます。 あのスポンサー一覧に載っているだけで嬉しいというか。

nogaken: あそこに載っているだけで、みんな一体感というか仲間感がありますね。 来年はブース出したいです、やっぱり存在感ありますし。

taiga: なかなか四人だと大変そうですね…

kantarow: 他の会社の方に聞いたらやっぱシフトというか、ローテーションを組んでたりしたみたいです。

nogaken: 気合でなんとかなるんじゃないですか!

taiga: 来年に向けて学びが多かったですし、はじめてのスポンサーは嬉しさもありましたね。

その他このカンファレンスを通して感じたこと

taiga: その他、このカンファレンスを通してよかったことなど教えて下さい。

kaji: Rubyistの知り合いが増えたというのが 良かったところですかね。 会社問わずいろんな方とRubyについて話せて。RubyKaigiじゃないと会わないような人っていうんですかね。 そういった方々と接点を持ってたのが良かったなというふうには思います。

kantarow: その他っていうところでいうと、事前の勉強会とかあったじゃないですか。 僕は参加できなかったんですけど、事前の勉強会とかで、みんなインプットしてから来たりとか、終わった後にもくもく会みたいなイベントがあったりとか、そういう動きがRubyKaigiで刺激を受けて、これやってみようみたいな動きがまたここから出てくると思う。 そういう文化があるのがめっちゃいいなって思って。 発表者の人たちは専門的でプロフェッショナルで、自分みたいな一般ウェブエンジニアではパッと理解できないような話をされてると思うんですけど、みんなその熱量に応えようとしてるというか、興味を持ってそこに仲間入りしようとしてるみたいな感じがいいなって思いました。

taiga: めっちゃいい気づきと熱量ですね! 自分もそういうRubyKaigi後のもくもく会みたいな動きは観測していて、参加したいと思っていました。

nogaken: その他というか、講演に近いところの話にはなるんですが、Rubyという言語の今後の方向性みたいなところを理解できたことが自分にとって非常に大きかったです。 会社でも「この部署はこういう数値を達成したいんだよね」という極小的な目標だけでなく、会社のミッションや「今後こういうことを実現したい」という大きな目標があって、それが組織ごとにブレイクダウンされていることで、全体を理解し、モチベーションを持てるようになるところってあるじゃないですか。 Rubyにおいても、多分そこは似ている部分があると思っていて、Matzさんも言ってましたけど、パフォーマンスが大事ということで、今後パフォーマンスを良くしていくという方向性がありましたけど、そのパフォーマンスの文脈の中で開発者体験が重要であるということを理解することで、Rubyの今後の方向性とテーマを理解できて、自分の中でRubyに対する理解度だけでなくモチベーションがすごく上がるきっかけになりました。 今、自分自身もRubyに貢献したいという気持ちが結構あって、特にTypeProfのところで、型を自分で書かずに推論する部分に非常に興味があってコントリビュートしてみたいなという気持ちになりました。 この数日間でRubyの今後の全体感をつかめて、モチベーションが変わるところがすごく大きいなと思いました。

taiga: Rubyに貢献しようという気持ちが出てきたのはいいことですね!

nogaken: そうですね。RubyKaigiの目的の一つでもあると思うんですよね。 Rubyのコントリビューターを増やすっていうことは。 だからこの目的にまんまと…まんまと、というか笑 ほんとに良いイベントだと思いました。

taiga: みなさん、ありがとうございます! 来年、松山で開催されるRubyKaigiも絶対参加しましょう!

おわりに

私自身、初めてのRubyKaigiの参加でしたが、とても刺激を受けた3日間となりました。 正直なところ講演の内容を全て理解できたわけではないのですが、Rubyの開発に携わってる人やカンファレンスの参加者の熱量というのを直接感じられて、自分もRubyにもっと貢献してみたいと思いました。

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